医療に関する記事やコラムは、健康や命に関わるテーマであるため、人々の不安や期待につけこみやすく、「最新医療」「海外で常識」「日本だけ遅れている」といったセンセーショナルな見出しがつきがちです。しかし、こうした医療記事には鵜呑みにしてはいけない情報が含まれている場合が多々あります。なぜなら、医療という分野は莫大な利権が絡む産業であり、その情報の背後には商業的・政治的な動機が潜んでいることもあるからです。
■ 医療には「金」が集まる
医療は、製薬、医療機器、保険、自由診療、介護などを含めた巨大市場です。新薬の導入や治療法の普及には莫大な資金が動き、それに伴う利害関係者も多数存在します。そのため、「この薬は危険」「この治療法は革新的」といった情報は、科学的根拠よりも商業的な意図で流布されている可能性も否定できません。
■ 例1:「マイスリーだけが認知症リスク」とする記事の違和感
先日とあるネット記事で、「睡眠薬の中でもマイスリー(ゾルピデム)は特に認知症になりやすい」とする主張が展開されていました。一見それらしく書かれていましたが、以下のような疑問が湧きます:
- 他の睡眠薬(特にベンゾジアゼピン系)も認知機能への影響が知られている。
- なぜマイスリーだけが名指しで問題視されているのか?
- 他薬への誘導や、マイスリーの評価を意図的に下げようとする可能性はないのか?
こうした点から、科学的中立性よりも商業的意図を感じざるを得ません。
■ 例2:「海外で進んでいるが日本では遅れている」という典型的構図
また、別の記事では、特定の腸内細菌移植治療が「海外では広く普及し、日本だけが利権で遅れている」と主張されていました。たしかに海外で一部の疾患(再発性クロストリジウム感染症など)に限って承認されている国はありますが、「海外では一般的」「日本だけ遅れている」という構図は明らかに誇張です。慎重な制度設計が必要な分野であり、現時点で広範に普及しているとは言いがたいのが現実です。
■ 例3:医療従事者の権威を利用したサプリメントのプロモーション
最近では、医師や看護師といった医療従事者の推薦を前面に出したサプリメントや健康商品の広告が増えています。例えば、看護師の「共感」を利用したプロモーションでは、看護師が商品を推奨することで、消費者の信頼を得ようとする手法が取られています。しかし、これらの推薦が必ずしも科学的根拠に基づいているとは限らず、商業的な意図が含まれている可能性があります。消費者は、医療従事者の肩書きに惑わされず、情報の信頼性を自ら判断する姿勢が求められます。
■ よく使われる“煽動フレーズ”に注意
以下のような表現が使われていたら、一歩引いて読むことをおすすめします:
- 「海外では常識」
- 「日本だけがガラパゴス」
- 「製薬会社や官僚の利権のせいで広まらない」
- 「医師が教えてくれない本当の話」
これらは、読者の不安や反権威感情を煽るための常套句です。科学的な議論というより、商業的なプロモーションの文脈で使われている可能性があります。
■ 情報の受け取り方に注意を
- 医療記事は「ニュース」ではなく「プロモーション」の可能性がある。
- 誰が発信しているか(営利目的か、研究者か)、どんな根拠を示しているかに着目しましょう。
- 一部の専門家の意見ではなく、複数の研究・ガイドライン・公的機関の見解に目を通す姿勢が大切です。
■ 終わりに
医療は不安につけこみやすい分野であり、その情報の背後にはビジネスとしての思惑が潜んでいることがあります。「医療系の記事は全て眉唾だ」と最初から否定する必要はありませんが、常に冷静な目線で「誰が」「何のために」発信しているかを考える姿勢が、情報化社会を生きる私たちには求められています。
このように、医療情報を受け取る際には、情報の発信元やその意図を慎重に見極めることが重要です。特に、医療従事者の推薦や海外での事例を強調する記事には注意を払い、科学的根拠に基づいた情報を選択するよう心がけましょう。
例えば、一紙ではなく、複数紙の権威のある専門誌に論文が掲載されるなどです。
※ちなみに丸山ワクチンは安全性こそ高いとされるものの、世界で使われている国はない。「世界で使われていない」──この事実そのものが、ある意味で最大の“エビデンス”なのかもしれない(笑)