先日、1年半ぶりに大腸内視鏡検査を受けてきた。これで同じクリニックで3回目の検査になる。以前は名古屋市名東区にある内視鏡専門で有名なクリニックに通っていたが、ある時期から医師の質が急激に低下した。
おそらく、医師が代替わりしたか、忙しすぎてアルバイト医師を雇ったのだろう。検査の途中で中断されたにもかかわらず、費用は通常通り請求され、納得のいかない思いでクリニックを変えた。麻酔を増やして対応すれば検査は続行できたはずだが、方針なのか技術的な問題なのか、そのクリニックではそれ以上の対応がなされなかった。いまでも思い出すと腹立たしい。
現在通っているクリニックでは、全身麻酔で検査を行ってもらっており、痛みもなくスムーズに終えられている。ただし、回を重ねるごとに痛みへの耐性が落ちているのか、今後は通常のクリニックで使える麻酔では限界がくるかもしれない。私は大腸がんの既往があり、検査のたびにポリープも見つかるため、受けられる限りは検査を続けるつもりだ。
今回も問題なく検査は終わったものの、麻酔が強く効きすぎて帰宅してからの記憶が全くない。仕事をしていたら、検査後に復帰するのは現実的ではない。昼と夜が逆転するほどの疲労感が残った。
クリニックの”高価格・高サービス”戦略
今通っているクリニックは、保険診療の範囲であっても費用が上限いっぱいに近く、いわば「高価格・高サービス」のスタイルをとっているように感じる。もちろん、保険診療は点数で費用が決まっているため、単価に大きな差はないはずだが、実際には医療制度の抜け道を利用して「うまくやっている」印象がある。おそらく医療コンサルタントの助言が入っているのだろう。
私はこの価格設定に全く不満はない。むしろ、高価格なぶん、サービスの質が高いということを実感しており、変えるつもりもない。
実は、同様の印象を持ったのが、別の眼科クリニックでもあった。緑内障の診察を受けたその眼科は、普通のクリニックでは見かけないほど多くの最新機器を揃え、スタッフの対応も非常に丁寧かつスムーズだった。会話一つをとっても、何らかの接遇教育がされているのではと感じるほどだ。結果として、初診の予約は3か月待ち。にもかかわらず患者は離れず、むしろ混み合っている。
周囲に眼科が少ないわけではない。飛び込みで診てもらえる医院もあるが、設備やサービスの質の差は歴然で、患者がわざわざ待ってでも通いたくなる理由がそこにある。
生き残るクリニックの条件とは
こうしたクリニックに共通しているのは、親の代からのクリニックではなく、開業からおよそ10~15年が経っており、開業医として十分に軌道に乗っていること。そして、開業時からおそらく医療コンサルのサポートを受け、戦略的に差別化を図ってきたことだろう。
今後、医療の現場にもAI診療や遠隔医療が本格的に導入される時代が来る。そうなれば、画一的な診察や設備しかない「普通のクリニック」は厳しい立場に立たされる。とくに、二代目・三代目のクリニックが先代のやり方をそのまま踏襲し続ければ、徐々に競争力を失っていくことは避けられない。
一方で、最新の医療設備を整え、接遇を磨き、患者体験を重視した「ブランド型クリニック」は、確実に支持を集めていくだろう。医療サービスであっても、“選ばれる体験”を提供できるかどうかが、今後の生き残りを左右するのだ。
まとめ
私が現在通っているクリニックは、高価格ながら高品質な医療とサービスを提供し、それによって確固たる患者の支持を得ている。これは偶然ではなく、医療技術だけでなく経営やサービスにまで踏み込んだ努力の結果だ。
今後の医療業界で生き残るのは、医師としての腕前だけでなく、経営とサービスのバランスを最適化できたクリニックだと確信している。