アメリカ政治で繰り返し語られるイメージといえば、「(右派)共和党=戦争好きなタカ派」「(左派)民主党=平和を好むハト派」。
しかし、実際の歴史を数字と犠牲者で振り返ると、この常識は驚くほど事実とズレています。
民主党が主導した大戦
20世紀にアメリカが関与した大規模戦争を見てみましょう。
- 第一次世界大戦(ウィルソン、民主党)
- 第二次世界大戦(F.D.ルーズベルト、民主党)
- 朝鮮戦争(トルーマン、民主党)
- ベトナム戦争拡大(ジョンソン、民主党)
これらはいずれも数十万から数百万の死者を出し、アメリカ史上で最大級の殺戮を伴いました。
民主党は「世界大戦」「冷戦初期」という国際的に最も血なまぐさい局面を次々と主導していたのです。
戦争による死者数比較
戦争 | 政党(大統領) | 相手側死者数(推計) |
---|---|---|
南北戦争 | 共和党(リンカーン) | 約75万(うち民間人多数、同胞殺し) |
第一次世界大戦 | 民主党(ウィルソン) | 約40万(独軍兵士・民間人) |
第二次世界大戦 | 民主党(F.D.ルーズベルト/トルーマン) | 約300万以上(日本・ドイツ中心、原爆含む) |
朝鮮戦争 | 民主党(トルーマン) | 約100万~200万(北朝鮮・中国兵+民間人) |
ベトナム戦争 | 民主党(ジョンソン開始→共和党ニクソン継続) | 約200万(北ベトナム兵・民間人) |
湾岸戦争 | 共和党(ブッシュ父) | 約10万(イラク兵中心) |
アフガン戦争 | 共和党(ブッシュ子→民主党オバマ継続) | 約20万(タリバン兵・民間人) |
イラク戦争 | 共和党(ブッシュ子) | 約20万~30万(イラク兵・民間人) |
戦争 | 主導政党(大統領) | 米軍死者数(概算) |
---|---|---|
第一次世界大戦 | 民主党(ウィルソン) | 約 11.7万 |
第二次世界大戦 | 民主党(F.D.ルーズベルト/トルーマン) | 約 40.5万 |
朝鮮戦争 | 民主党(トルーマン) | 約 3.6万 |
ベトナム戦争 | 民主党(ジョンソン開始→共和党ニクソン継続) | 約 5.8万 |
湾岸戦争 | 共和党(ブッシュ父) | 約 300 |
アフガン戦争 | 共和党(ブッシュ子 → 民主党オバマ継続) | 約 2,400 |
イラク戦争 | 共和党(ブッシュ子) | 約 4,500 |
⚔️ 南北戦争は特殊ケース
共和党リンカーンが主導した南北戦争(1861–65)は、確かにアメリカ史上最多の死者(約75万)を出しました。
しかしこれは、
- 国家分裂と奴隷制廃止をめぐる内戦であり
- 対外侵略や国際的拡張を目的とした戦争ではありません。
つまり南北戦争は「共和党が戦争を好んだから起こした」のではなく、国の存亡をかけた内的危機への対応だったのです。
この点で、民主党が推し進めた第一次・第二次世界大戦やベトナム戦争などの「対外戦争」とは本質的に異なります。
🏰 共和党の戦争はブッシュ家に集中
20世紀以降の共和党大統領を振り返ると、実は「大規模な戦争突入」はほとんどありません。
- アイゼンハワー:朝鮮戦争の停戦をまとめた側
- ニクソン:ベトナム戦争を「拡大」ではなく「収束」に動いた
- レーガン:グレナダ侵攻・リビア空爆など短期局地戦のみ
例外はブッシュ父子です。
- ブッシュ(父):湾岸戦争(1991)で大規模作戦
- ブッシュ(子):アフガン戦争・イラク戦争で21世紀最大の戦争を開始
もしこの ブッシュ家が存在しなかったら、共和党政権下の戦争突入はほぼゼロに近い のです。
✅ 結論
- 民主党は、WW1・WW2・朝鮮戦争・ベトナム戦争と、20世紀の超大規模戦争を次々と主導した。
- 共和党の「最大の戦争」は南北戦争だが、これは特殊な内戦であり、他の対外戦争とは性質が違う。
- 冷戦後に「共和党=戦争好き」という印象を決定づけたのは、ブッシュ家の二代に限られる歴史的偶然である。
🎯 メッセージ
「右派=戦争好き」というレッテルはプロパガンダにすぎません。
実際の歴史を直視すると、むしろ 左派(民主党)の方が世界規模の戦争を主導してきた ことが明らかになります。
そしてもしブッシュ家がいなければ――
共和党は「戦争政党」と呼ばれる根拠をほとんど持たなかったはずなのです。
おーら
理想主義の左派が戦争を始めて、現実主義の右派が戦争をおさめる。これが実態。左派的にはブッシュ家がいて逆に助かったとでも思っていそう。このファミリーがいなければアメリカの戦争は民主政権が起こすものと言い切れてしまう。ウクライナ進行を放置したバイデンもそうだが台湾有事も民主政権下を気をつけた方が良さそう。