父が肺がんと診断された。検査でリンパ節や他臓器への転移が確認され、ステージ4という深刻な段階だった。
80歳を超える年齢と重度の進行から、延命手術や放射線治療は現実的ではなく、終末期ケアへ移る方針が立てられた。
病院に赴いた際、まず父本人と面会し、症状・進行度を簡潔に説明された。
治療方針は「抗がん剤を試す」ものだったが、効果の見込みは低く、最終的には緩和ケアへの移行を想定していた。
医師は家族に対し、今後の選択肢と経済面(保険や介護認定)についても相談した。
第一回目の抗がん剤投与後、体力低下と副作用で熱が出るなどの症状が現れた。
CTスキャンでは腫瘍が急速に増大しており、第二回目の薬は効果を期待できない可能性が高いと医師から説明された。
治療継続か緩和ケアへの切替えについて家族で話し合い、最終的に“痛みや副作用を軽減するため”という判断を下した。
第二回目治療後、医師からのフォローアップが遅れたことを受けて家族は「介護認定取得」を急ぎ、必要な手続きを進めるよう指示された。
医師は「緩和ケア病棟への入院は余命1〜2か月程度の患者に適している」と説明し、早期準備が不可欠であると強調した。
父は転帰を受け入れ、緩和ケア病棟へ入院した。
治療病棟と同等の設備を備えつつ、終末期患者向けに配慮された環境で過ごすことができた。
保険適用により月額約3万円の給付金が受けられ、経済的負担は軽減された。
入院後1か月を過ごす中、父は体力回復と痛み管理に努めた。
医師から「食欲不振や排尿機能低下など末期症状が出ること」を説明され、家族へのケアのポイントが提示された。
支払いは約19万円(抗がん剤治療分を含む)で、緩和ケア単体では約7.6万円と比較しても経済的に許容範囲内だった。
病状は急速に悪化し、喉から食べ物が通らなくなった。
医師は「栄養補給は点滴ではなく経口で可能ならば」と指示し、痛み管理にはモルヒネを使用せずに済むと説明した。
家族へのアドバイスとして、以下のポイントが挙げられた。
- 食事量が減少・飲み込みにくい場合は無理強いしない。
- 身体機能低下時は介護者や看護師と連携して安全を確保する。
- 睡眠時間が延び、意識レベルが変化したら、最終的な安寧ケアへ移行を検討。
父は2週間余りで息を引き取った。
この経験から、末期がんの家族は「早めの情報共有」「介護認定取得」「保険活用」を徹底し、最終的なケアに備える重要性が改めて実感された。
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メタディスクリプション: 末期がんを抱えた父親の診断から最期までの経過と、家族が取るべき準備・対応策を章立てで解説。緩和ケアへの移行や介護認定取得、保険活用など実践的な情報を提供します。