TBSが報じた「ボーイング100機購入」のニュース
先日、日米の関税交渉の過程で、日本がアメリカの航空機メーカー・ボーイングから100機の旅客機を購入するというニュースが報じられました。これに対してTBSは、「またアメリカの要求に従ったのか」「国民に知らせない不透明な交渉だ」「関税緩和の見返りで不平等な取引」といった、いつもの“アメリカに追従する日本”という印象を与える論調で報道しています。
彼らの論点は、安全性や機体性能ではなく、「外交交渉で日本が譲歩したように見える構図」への否定的な見方です。視聴者に「またアメリカに押し付けられたのか」と感じさせるような構成です。
正直言ってボーイングってよく墜ちてる気がして不安だった
報道を見たとき、TBSの論調には「また煽ってるな」と思いながらも、個人的には“ボーイング機ってよく落ちてない?”という漠然とした不安が頭をよぎりました。エアバスよりボーイングの方が事故の報道が多かったような気がするし、ニュースでも墜落事故は強く印象に残っています。
もし、この100機の中にそういった“危ない機種”が含まれているなら、それこそTBSが煽らずとも、心配になる理由はあるかもしれない。そう思って、調べてみることにしました。
調べてみたら「737MAX以外はほぼ同じ」だった
統計を見てわかったのは、確かに737MAXという機体だけは例外的に事故率が高いということ。しかし、それ以外のボーイング機──たとえば737のNext Generationシリーズや、長距離用の787ドリームライナーなど──については、エアバスと事故率にほとんど差がありませんでした。
たとえば、離陸100万回あたりの致命的事故率を見ると:
- Airbus A320ファミリー:約0.1回
- Boeing 737 Next Gen:約0.04〜0.26回(機種や時期により差)
- 737MAX:1.48回(これは突出して高い)※
このMAXの異常さが目立ちすぎて、「ボーイング=危険」と感じてしまうわけですが、それは印象の問題。ボーイング全体で見れば、エアバスと同程度の安全性があるというのが実情でした。
※ 一昔前旅客機は100万分の1で墜落すると言われており今は1000万分の1まで安全になっている。しかしこの機体だけは、その一昔前の致命的事故率なみに酷い
TBSの“いつもの論調”には乗せられない
結論として、TBSの「アメリカに押し付けられた」という報道姿勢には違和感があります。確かに交渉の一部として航空機購入がセットになっていたのかもしれませんが、そもそもジャンボジェットは日本では製造できないし、機材の更新は必須です。ボーイングかエアバスかの二択の中で、どちらを選ぶかは経済性や整備効率、安全性など総合判断によるもので、政治的な屈辱論とは次元が違います。
そしてなにより、個人的に「ボーイングはちょっと怖いな」と感じていた不安も、737MAXさえ除けば杞憂だったというのは、しっかり調べてみて初めてわかりました。
報道を見るときは、感情を煽る論調に流されず、まずは事実を調べてみることがやはり大切です。
✍️補足
- 今回の100機がすべて737MAXということはまず考えにくく、長距離用の787や次世代の777Xなどが含まれる可能性が高いです。
- ボーイング機の多くには、日本企業(川崎重工、三菱重工など)が主要部品を供給しており、購入は日本経済にとってもプラスの面があります。

昔やっていた仕事で、ボーイングに部品を納入していた企業に関わったことがあったが、日本は実はかなりの割合でボーイング機に部品を供給している。機体の一部どころか、炭素繊維、電装、配線、ドア機構まで含めた“準国産”と言ってもいいレベルだ。
一方のエアバスはヨーロッパ企業中心で、日本の産業にはほとんど波及効果がない。どうせ旅客機は必要で、航空会社の思惑でエアバスを買うくらいなら、国主導でボーイング機を導入した方が、日本経済のためにも理にかなっている。
そして何より、オールドメディアはこうしたニュースで国民感情を煽り、怒りを蓄積させようとする構図を繰り返している。だからこそ、ご自身で調べてみることを、ぜひおすすめしたい。
ちなみに、旅客機に乗るとき、自分はずっと「エアバスなら安心、ボーイングだと少しドキドキ」していたが、気にすべきなのは実は737MAXだけでよかった──それが今回一番の発見だったかもしれない。