――石破政権“高支持率”報道に見る世論調査の操作性と限界
📰 またしても「現実離れした数字」
2025年8月、NHKが発表した「次期首相にふさわしい人物」調査で石破茂氏が圧倒的支持を集めたと報じられた。
だがSNS上では即座に疑問の声が噴出した。
「街の声と違いすぎる」
「XやYouTubeで石破支持なんて見かけない」
「またNHKの印象操作か?」
ネット世論と紙面・テレビが示す数字は、いまやまったく別の世界を描いている。なぜこれほど乖離するのか。その答えは「旧時代の調査手法」にある。
☎️ NHK・新聞社の調査は“化石方式”
現在も多くの大手メディアはRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式による電話調査を採用している。
市外局番を無作為に組み合わせ、自動音声や調査員が固定電話や携帯電話にかけて質問する仕組みだ。
しかし、この方式には致命的な問題がある。
⚠️ 「歪んだ声」しか拾えない旧型世論調査
1. 若者がほぼ排除される
総務省統計によれば、20代の固定電話保有率は1割未満。電話調査の段階で、現役世代・若年層の声はごっそり削ぎ落とされる。
2. 暇な層が中心になる
平日日中に電話に出て長時間回答できるのは、時間に余裕のある高齢者・専業主婦・政治好きの層が多い。現役世代や「政治に無関心な層」はほぼ反映されない。
3. 思想的に偏った回答
メディアを信頼している層、つまり比較的リベラル寄りの人ほど回答に協力しやすい。一方、保守層やネットで情報を得ている層は「NHKの調査なんて信用できない」と拒否する傾向が強い。
結果として、左派的な傾向を持つ高齢層の声ばかりが“国民の声”として発表される。
📊 ネット世論と真逆の数字
例えば、2024年の自民党総裁選時、YouTube世論調査(複数チャンネルの合計視聴者投票)では高市早苗氏や河野太郎氏の支持が圧倒的多数だった。
しかし、NHKの電話調査では石破氏が常に「次期首相にふさわしい人物」でトップ。
この食い違いは偶然ではない。調査対象と方法の違いが「別世界の民意」を生み出しているのだ。
🧪 マクロミル方式が示す「現実」
対照的に、マクロミルやLINEリサーチのようなパネル型ネット調査は精度が高いとされる。
✔ ネット調査の強み
- 年代・性別・地域を網羅した登録パネルに基づき、母集団のバランスを確保。
- 人口比率に応じたウェイト補正を実施。
- なりすましや多重回答をAIが排除。
- スマホで簡単に回答できるため、「普段は政治に無関心」な層の声もすくい上げられる。
実際に、マクロミル調査の方が選挙結果に近い傾向を示している。
📉 メディアがネット調査を避ける理由
それならなぜ、NHKや新聞社はネット調査に移行しないのか。
・「番組に都合が悪い結果」が出る
ネット調査では、保守層や中道層の意見が強く表れる傾向がある。そのため、従来メディアが好んで取り上げてきたリベラル寄りの意見が埋もれる。
・スポンサー・業界団体への配慮
石破氏のように財界・業界団体と関係の深い候補が「高支持」と報じられることで、既得権益を守りやすくなる。
・変化への抵抗
調査会社やNHK内部の慣習、長年の委託契約があり、簡単には「方式転換」できない。
要するに、メディアにとって電話調査は「都合の良い数字」を作れる道具なのだ。
🧭 世論調査の民主化を
今必要なのは、
- マクロミル型インターネット調査
- 携帯+ネットのハイブリッド方式
- SNSやアプリ連動型の次世代調査
への移行だ。
公平な報道には、公平な調査設計が不可欠。もはや「高齢者の固定電話に答えた数字」を“国民の声”として報じるのは時代錯誤だ。
🔚 虚像を振りかざすな
NHKや新聞社が出す「石破高支持率」のような数字は、現実の社会と乖離した虚像にすぎない。
その虚像が「次期政権の正当性」を演出し、国民を誤った方向へ誘導する。
報道機関が信頼を取り戻すためには――
まず調査方法を刷新し、“都合のいい世論”作りをやめることだ。