1. グラハム・リネハン氏の逮捕とその背景
2025年9月1日、アイルランド人のコメディ作家グラハム・リネハン氏はヒースロー空港に到着後、X(旧Twitter)での複数の投稿が「暴力を扇動する可能性がある」として、武装警察官5名により逮捕されました。その投稿には、トランス女性がいた場合に暴力をふるうというニュアンスを含む表現が含まれており、逮捕後は高血圧を理由に一時入院し、釈放後はXを使用禁止とする保釈条件が課されました。
2. 社会的反響:権力による言論統制の懸念
この事件は「言論の自由の侵害」と猛烈な反発を引き起こしました。J.K.ローリングは「これが全体主義か」と批判し、イーロン・マスク氏は「警察国家」と呼びました。保守派国会議員や論評でも「ジョークで逮捕とは」「いつの間にイギリスは北朝鮮に?」といった自由主義国家らしからぬ言論統制への懸念が多数寄せられました。
3. 警察トップの見解と制度改革の動き
一方、メトロポリタン警察長官マーク・ローリー卿は、現在の法律が「オンラインの文化戦争に警察を巻き込んでいる」と指摘し、真に危険な言論でない限り捜査対象から外すよう※、立法側に法の明確化を提言しています。政府与党からも「警察は本当に重大な犯罪に集中すべき」との声が上がっています。
※結局言論弾圧は続ける表明のようです。
4. 法制度の“曖昧さ”と規制強化の流れ
- Online Safety Act(2023年)により、プラットフォームに対する規制強化が進行中で、表現の制限への懸念が高まっています。人権団体などは「検閲法」だとして批判しており、技術的監視社会への警戒も示されています。
- 英国ではすでに、公共秩序法や通信法など複数の法律により、暴力的である恐れがある表現は処罰対象になり得ます。その基準は「威嚇的・虐待的・侮辱的」のように非常に曖昧で、運用次第では言論を萎縮させる可能性があります。
5. 中国型監視社会との比較
- 類似点:SNS投稿の監視・通報・国家介入、発言による制裁(逮捕・拘束)といった構造は、表現の自由よりも秩序と「安全」を優先させる点で、中国のネット統制を彷彿とさせます。
- 相違点:イギリスでは、少数者へのヘイトや暴力的言動が規制対象となる一方、中国では政府批判や体制に不都合な内容が標的になります。しかし、国家が「正しい言論」と「不適切な言論」を基準で選別する構図は共通しており、監視社会への一歩という意味ではいかにも近いと言えます。
結び(まとめ)
イギリスの今回の動きは、自由主義国家でありながら、「言葉が暴力と見なされる」という概念に基づき、国家が表現に介入する構造を明確に露呈させました。法制度の曖昧さ、警察による積極的な介入、監視社会の様式が整いつつある点は、自由主義から逸脱し、むしろ中国型統制に接近していると捉えて差し支えないでしょう。

おーら
イギリスは今、確実にディストピアへと歩を進めている。警察が本当に取り締まるべきは暴力やテロの脅威だが、現実にはポリコレ過激派やLGBT過激派による過剰な投稿は野放しのまま、異論を唱える者ばかりを狙い撃ちにしている。このまま進めば、やがてはアニメ『PSYCHO-PASS』さながらの監視社会が現実のものになるだろう。日本も例外ではない。左派政治の流れに乗ってイギリスの後追いをすれば、政府や警察が国民のSNS投稿を逐一チェックする未来が待っている。そんな社会では、息苦しくて安心して暮らすことはできない。多様性を掲げながら、実際には左派的価値観以外を弾圧する――それはもはや「リベラル」とは呼べない