北村晴男氏、圧勝の背景に見えた「保守の怒り」──比例区個人得票ランキングで読む2025年参院選の民意

朝日新聞の開票率:99.63%のデータより比例区個人得票数ランキングを作成してみた。

参院選候補者 得票数ランキング

上位50位

順位氏名党名得票数
1北村晴男日本保守党970,216票
2犬童周作自民481,703票
3山田太郎自民378,794票
4平木大作公明377,523票
5司隆史公明341,360票
6蓮舫立憲337,579票
7浜田聡NHK党333,947票
8佐々木雅文公明325,129票
9原田大二郎公明309,946票
10河野義博公明291,373票
11安野貴博チームみらい237,725票
12見坂茂範自民217,846票
13新妻秀規公明218,952票
14梅村みずほ参政210,790票
15ラサール石井社民206,255票
16田村麻美国民204,737票
17浜野喜史国民193,141票
18東野秀樹自民187,868票
19礒崎哲史国民181,879票
20安達悠司参政178,643票
21橋本聖子自民175,602票
22釜萢敏自民174,145票
23吉野敏明日本誠真会166,445票
24有村治子自民165,651票
25石田昌宏自民152,482票
26本田顕子自民152,245票
27岸真紀子立憲147,512票
28鈴木宗男自民132,104票
29百田尚樹日本保守党128,430票
30木村英子れいわ新選組127,283票
31佐藤正久自民127,133票
32宮崎雅夫自民126,949票
33山東昭子自民125,757票
34伊藤辰夫国民124,615票
35足立康史国民122,524票
36安藤裕参政117,858票
37水岡俊一立憲116,125票
38吉川沙織立憲116,020票
39岸博幸自民109,752票
40小池晃共産107,081票
41有本香日本保守党106,512票
42赤池誠章自民102,608票
43比嘉奈津美自民101,738票
44嘉田由紀子維新101,399票
45小沢雅仁立憲99,752票
46郡山玲立憲94,547票
47森ゆうこ立憲92,244票
48平戸航太国民91,959票
49白真勲立憲89,268票
50松田学参政88,057票

51位以下(主要候補のみ抜粋)

順位氏名党名得票数
51田中昌史自民88,282票
52阿部恭久自民88,011票
53石川大我立憲84,524票
54宮窪大作自民80,298票
55中田宏自民79,110票
56杉田水脈自民76,707票
57山田吉彦国民74,182票
58森屋隆立憲74,167票
59和田政宗自民64,532票
60石井めぐみ維新62,445票

※特定枠の候補者(伊勢崎賢治)は得票数の記載がないため除外しています。

2025年の参議院選挙は、比例代表における個人名投票の結果からも、有権者の明確な意思が読み取れる選挙となった。なかでも注目すべきは、日本保守党の北村晴男氏が97万票を獲得して全候補中トップに立ったことだ。

◆ 北村晴男氏の「異次元」得票と、保守層の代弁者としての存在感

弁護士として長年メディアにも登場してきた北村氏だが、今回の得票数は2位の自民・犬童周作氏(48万票)にほぼダブルスコアの圧勝。背景には「保守は自民に任せておけない」という強いフラストレーションが存在したと考えられる。

石破政権の増税路線や移民政策への不信感、そして政権全体のリベラル化傾向に対し、「保守派の意志表示」として北村氏が選ばれた格好だ。政党支持ではなく「人」に投じた有権者の強いメッセージが見て取れる。

◆ 蓮舫氏、思わぬ得票低迷──立憲のブランドは通じなかった

立憲民主党から出馬した蓮舫氏は33.7万票で6位にとどまり、想定よりも低調だった。かつての知名度や過激な発信が一定の人気を得ていたものの、SNS世代における評価の変化や、既存メディア型の発信手法が今の空気に合っていない可能性もある。

立憲は全体的に候補者の得票が伸び悩み、保守対リベラルの構図の中で「受け皿になりきれなかった」現実が浮き彫りとなった。

◆ 浜田聡氏、全国7位でも落選──比例選挙の冷酷な現実

NHK党の浜田聡氏は33.3万票を獲得し個人票では7位に入ったが、党全体の得票が伸びず、議席獲得に至らなかった。比例代表制度では、個人の得票数だけではなく政党全体の得票率が決定的であり、どれほど個人が支持されても政党が沈めば議席を失う。まさに「冷酷な制度」の現実を体現した一例だ。

◆ ラサール石井氏の20万票──社民党再浮上のカギとなったか

一方で、注目されたのは社民党から出馬したタレントのラサール石井氏。本人の発信力や話題性もあって206,255票を獲得し、党の全体得票約121万票の中で大きな割合を占めた。得票率2.1%でかろうじて政党要件(2%)を維持した社民党だが、もしラサール氏がいなければ届いていなかった可能性は高い。党の生存に貢献した“最後の大物”だったといえる。

◆ 安野貴博氏、AI時代の政治の象徴として当選

未来志向の政策を掲げる「チームみらい」から出馬した安野貴博氏も23.7万票を獲得して当選。AI技術の専門家として、政策提言にも一定の注目が集まっていた。政党色が薄い中での得票は、現代の有権者が「専門性」や「未来ビジョン」に投票した証左といえる。

◆ 総じて強かったのは保守層の地盤か?

今回の得票ランキング上位を見ると、日本保守党の北村晴男(1位)、百田尚樹(29位)、有本香(41位)など、知名度に加えて明確な保守メッセージを発してきた候補が軒並み高順位に入っている。

これに対し、立憲や共産の候補は目立った得票を得られず、共産党の小池晃氏ですら107,081票(40位)と勢いに欠けた。全体として「リベラル疲れ」とも呼べる雰囲気が読み取れる。政治への怒りや不信の矛先が、保守系・改革志向の候補へと向いた構図だ。


総括:比例区個人投票が示す「人物本位」と「価値観の変化」

今回の比例区の結果からは、「政党」よりも「人物」に重きを置いた投票行動が際立った。特に北村氏や浜田氏、安野氏、ラサール氏など、個人の発信力・専門性・メッセージ性が結果に直結している。

一方で、既存政党への無条件の信頼は低下しており、有権者は「何を語るか」「どの立場か」を冷静に見極めて投票している。今後、政治家にとって「何を言うか」だけでなく、「誰にどう届くか」という戦略が問われる時代に入ったことを、比例区の結果が象徴している。

おーら
おーら
あと猛威を振るった国民民主党と参政党は議員や候補者個々の力というより党首や幹事長のカリスマ性と発信力で成り立っているのがよくわかる個人ランキングとなった。だから自公立の権力を持つオールド政党のターゲットは週刊誌やテレビなどオールドメディアを使って玉木氏、神谷氏、榛葉氏あたりの個人攻撃が激化することだろう。


おすすめ記事

ためになる記事だと思ったらシェアおねげえします

フォローする