目覚めると世の中がぐるぐる回っていた　良性発作性頭位めまい症

ある朝に目が覚めて立ちあがろうとすると視界がぐるぐる回っている。

歩こうとするがまっすぐ歩けない。

よろけてタンスにしがみついていると吐き気もしてきた。

これはやばい。

ぜったいやばいやつだ。

とうとうLDLコレステロール過多で脳梗塞が起きたか？

119番しようか悩みつつ枕元にあったスマホを引き寄せて身体チェックをする。

まずどこにも痺れはなさそう。

「生麦生米生卵、隣の客はよく柿食う客だ」

言語障害も起きていない。

腕を水平に上げて目を瞑り数十秒後に腕も落ちない。

めまいはあるが意識はしっかりしている。

簡易チェックではとりあえず脳の異常ではなさそうだ。

独り身なので常に脳梗塞のリスクを頭に入れて救急車を呼ぶか判断できるようにしている。

しかし吐き気がある。

手足の寒気が強めだ。

ふらふらで片足で立っていられない。

長い間患っている持病からくる浮遊性のめまいでもない。

めまいが少し落ち着いたのでタブレットを取り出して

「ぐるぐる目が回る 寝起き」

で検索する。

良性発作性頭位めまい症は寝起きや寝返りなど頭の位置を変えたとき、特に朝起きたときに起こるめまいです。 グルグルと回る回転性めまいが多く、通常は数秒から1～２分で治まります。 吐き気や嘔吐を伴うことがありますが、聞こえが悪くなったり、意識や言葉、運動の障害を伴うことはありません。

一発で病名が出てくる。

おそらくこれか？

老化などで耳石が三半規管のリンパに落ち込んで平衡感覚に悪さをする病気だ。

最近はURL先に飛ばなくてもトップ画面に結果が表示される。

それではせっかく広告収入のためにサイト作っている人達がおまんま食い上げだな。

グーグルもやりたい放題になっている。

なんて思考が働くので脳は大丈夫そうだ。

しばらくするとめまいが弱くなってきた。

ただ頭位めまい症の症状より継続的に起きている気がする。

回転性めまいで他の可能性のある疾病を探すと、

• メニエール病
• 前庭神経炎
• 内耳炎

主にこの3つが該当する。

メニエール病は職場で患っていた人がいたのでよく知っている。

大変そうだが薬で生活に支障がないよう抑えこんでいた。

若い人、特に女性に多いと聞いている。

この歳で突発で起きる可能性は低そうだ。

あとは前庭神経炎か

前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)は、突然、強い回転性めまいと吐き気・嘔吐を生ずる疾患です。 安静にしてもなかなか収まりませんが、動くとさらに悪化します。 めまいは内耳にある前庭、半規管、それらからの情報が伝わる前庭神経、脳幹、小脳のいずれかが障害されて起こります。

こちらも可能性がありそう。

安静にしてもなかなか治まらないのと動くと悪化しているは当たっている。

内耳炎も良性発作性頭位めまい症と似たような原因なのだろう。

この歳で突発的に発症したので確率の順位は

1. 良性発作性頭位めまい症
2. 前庭神経炎
3. 持病の関連症状
4. 脳の異常

だろうか？

きっかけはゲーミングPC構築で１週間ヒッキー状態だったためか？

頭位めまい症はまさにデスクワークとか動かない人が発症しやすい。

それにしてもめまいが止まってもずっと続いている吐き気が嫌だな。

素人診断はここまでにして病院へいこう。

呂律が回らないとか痺れがあるとか頭痛が伴うとかはないのでとりあえず耳鼻咽喉科でいい。

ホームドクターに出かけようと思ったが外科の先生なのでやはり専門の耳鼻咽喉科か。

近いのはイヤーピースアレルギーの可能性を指摘してくれず自力解決したあのクリニックか。

でもこの状態でクルマには乗りたくない。

でも歩くと頭が揺れるので自転車が安牌だ。

近所の耳鼻咽喉科にしておこう。

なんとか午前中の営業時間の11:30に滑り込んで診てもらう。

20分ほど待ち症状を説明するとVRゴーグルのようなものをつけられ椅子をリクライニングして仰向けで眼球の動きをチェックされる。

視界は真っ暗だ。

右に向き、左に向き、椅子を戻してまたチェックされる。

これが赤外線CCDカメラによる眼振検査と呼ばれるものだ。

ゴーグルをかけて身体を動かしている最中に、

「今ふわっときましたね」

と医師に告げられる。

おお、たしかに！

正確には平衡感覚がぐるぐるっときた。

それにしても気持ちが悪い。

PCVRで遊んでもここまで酷くはない。

そこで予習しておいた良性発作性頭位めまい症の原理と症状を告げられる。

眼球の動きにこの病気の特徴がみられたようだ。

横になった時に頭位めまい症特有の眼球の動きがあるらしい。

医師によると一応他の病気の可能性も否定しないが十中八九当たりとのこと。

過去に受診しても病名を断言してこなかった医師がここまで言うなら確実だ。

そして治療についてもこれも予習の通りでたいていが2週間程度で回復するとのこと。

あとは薬でめまいとふらつきを抑える。

この３薬を処方された。

耳石を落とすためのトレーニングが書かれた小冊子ももらって帰ってきた。

簡単にいえばめまいがして気持ちが悪くなるような運動を出来るだけしろということだ。

もちろん薬を飲んで症状が落ち着いてからのこと。

診察で2050円と処方箋に870円かかった。

昼でお腹が空いて外食したかったが余計なお金を使ったのでマクドのチーズバーガーとスパチキで380円のランチにした。

久々のマクドだったけどこの組み合わせは安くてうまくてお腹が膨れていい。

それしてもゲーミングPCが完成した翌日に変な病気が発症するとは。

VRどころか普通のゲームも目が回るので当面封印だな。

１週間はゆっくり養生しよう。

って毎日ゆっくりしてるけどな！(ノリツッコミ

原因がわかると途端に気が晴れるものだ。

食後に薬を飲んで1時間もしたらめまいも吐き気もピタリと消えた。

そして3日程薬を飲んで4日目にやめてみたらあの感覚が来ることは無くなったのでもう耳石がリンパを通してどこかに流れてくれたようだ。

慢性化する人もいるらしいのであまり長い間椅子に座っているのはやめよう。

人間が生きるために必要なセンサーは目と耳と鼻と舌と触感の5感と第6感目は直感、霊感ではなく平衡感覚(三半規管)にすべきだろうと思い知らされた疾病だった。