白虎隊′86年版を観て

人よりかなり感情が乏しい人間だがそれでも若い頃に観て突き刺さったドラマがある。

1986年の年末特番で放送された日テレ制作の白虎隊だ。

幕末に起こった戊辰戦争における会津藩の悲劇を描いた作品で今から40年近く前のドラマだ。

その約20年後に脚本はひらりや週末婚の内館牧子でジャニーズの山pを主演に据えてリメイクされたがこちらは評判がいまいちだった。

どうせあの事務所のゴリ押しキャスティングだったのだろう。

あくまで名作なのは86年版だ。

当時は名作・良作を観ても響くドラマや映画は少なかったがこの作品は今でも記憶に残っている。

12/30、31放送の年末特番だった。

実家はNHKの紅白を観てゆく年くる年に雪崩れ込むのが年末年始の習慣だった。

年末年始のスキーで友達とホテルで観ていたのかどうやってこの番組を観たのか記憶が定かでないものの再放送ではなく本放送で観ている。

そこから約10年が経ち堀内孝雄の「愛しき日々」を聴いてもう一度白虎隊を観たいとレンタルVHSかDVDを探したが発売もされておらず当時残念な思いをした。

あれから四半世紀が経ち最近に「愛しき日々」を耳にしこのドラマのDVDが出ていないかと調べてみると2000年に発売されていた。

発売されてから23年の月日が流れていたようだ。

これは終活としても観なきゃとドラマ白虎隊を扱っているVODサービスがないか探したが見当たらない。

この名作を扱っているサービスがないのは残念と思いつつレンタルDVDで借りてきた。

そして年始にイッキ観をした。

前編、後編合わせて約5時間の作品だ。

出演者に白虎隊側の主役格にあの坂上忍が名前を連ねている。

確か2、3名とんでもないダイコン役者が混じっていてドラマをぶち壊していた記憶があった。

これが観る前に少し心配だった。

大人側には森繁久彌、丹波哲郎、近藤正臣、竹脇無我、佐藤慶、山岡久乃、泉谷しげる、火野正平、あおい輝彦、竜雷太の俳優陣に80年代女優3美人(※)の坂口良子、池上季実子、多岐川裕美の揃い踏みだ。

※個人的な意見です。

それに風間杜夫、里見浩太朗、西田敏行、中村雅俊、富田靖子、田中好子、工藤夕貴、国広富之と当時にドラマや映画で主役を張っていた4番を並べて大河を越えるような布陣だ。

これで面白くないわけがない。

借りて直ぐに観始めた。

ドラマ初っ端の印象はまず80年代らしく画質が悪い。

これは我慢せねば。

オープニングダイジェストでドラマをぶち壊した戦犯を思い出した。

そうそう、一瞬の登場だったが西川きよしの息子だ。

こんないいドラマなのにド素人の起用でドラマがぶち壊しだと当時ムカついていた記憶が蘇った。

まだアイドルなら視聴率上げるための客寄せパンダになるからキャスティングされるのもわかるがなぜ漫才師の息子で大した経験もない素人を出すんだと。

wikiで出演者一覧を見ても西川弘志が西川きよしの息子と結びつかなかった。

この頃はまだ天才横山やすしが存命だったのでその凡庸な相方ですら大河クラスのドラマに我が子をねじ込めるような芸能界に強い影響力を持っていたのだろう。

ファーストインプレッションは森繁久彌が若い!というのと国広富之が超美男子だったのとやはりその妻役の池上季実子が美しいだ。

当時は家族で観たであろう大作でも初っ端からストーリーと無関係な女湯サービスカットを挿入している。

女湯を覗いて水をぶっかけられるのが森繁久彌というのが豪華だ。

家族で観てるとそのシーンだけ気まずく静かになるのが当然の昭和の光景だった。

当時キャンディーズで一旦引退して再復帰した新人女優の田中好子の演技が野暮ったい。

いきなり名女優が生まれるわけでは無く経験を重ねて演技力がついていったようだ。

ミラーマンだったかアイアンキングだったかの主演の人が桂小五郎やってるなぁと当時も観ていて思い浮かべた事を思い出した。

考えることは40年経っても変わらん。

調べてみるとミラーマン役が徳川慶喜役でアイアンキング役が桂小五郎役だ。

沖田総司役の中川勝彦ってキリッとしてていい役者なのに知らないのはなぜ?と調べたら32歳の若さで30年前に白血病で亡くなられている。

そして前半は白虎隊の若手役者は出てこない大人だけの会津藩の幕末ストーリーがいい。

演技が安定しているので安心して観られる。

前半を観終えた感想は尺の取り方が独特で歴史上有名なシーンは敢えて短くナレーションでドキュメンタリーか再現ドラマのように進めてその前後の人間模様で引っ張る面白い演出だ。

昔はこのような演出が多かったのかな?

そして国広富之が演じる会津藩の神保修理の所感が後世の歴史学者的で視聴者目線すぎる脚色だ。

幕末真っ只中にそんな醒めた目で客観的に見ている人が会津藩にいたらもう少し何とかできた。

前半で覚えていたのは会津藩士が自主蟄居していた里見浩太朗の演じる家老西郷頼母のところに徳川慶喜と松平容保が兵を置き去りにして逃げ帰ったのを怒り心頭で詰め寄るシーンだ。

しかし将軍や大名に責任追及ができないので裏で戦中から二人の遁走を止めようと画策していた神保修理が会津藩の暴発を抑えるため責任を取って自ら切腹する。

修理の「誰も恨むな!」と最期の言葉を残して切腹に臨み妻も後追いしようとするシーンは泣ける。

父親役の丹波哲郎の雪の中で悔しい思いを堪えるシーンも印象的だ。

相変わらず別撮りちょい役で存在感を出しておいしいところを持っていく。

そして後半の主役達の白虎隊役者の顔見せからのエンドロールが森繁久彌と里見浩太朗以外の役者がアイウエオ順だった。

あまりに豪華で役者の格付けが困難だったのだろう。

そして後編だ。

西川きよしの息子だけはドラマをぶち壊してくれているが他の白虎隊若手役者は坂上忍も含めて演技はそれほど悪くなかった。

ひとりの大根役者のせいで後編の若手の演技は学芸会の様相だったと記憶違いをしていたようだ。

大根役者といえば当時は誰もが認める近藤正臣だがこのドラマあたりから味が出てきた。

後半で記憶があったのが初陣前に白虎隊の肥満な隊員が板越えをして自分に自信をつけるシーンと白虎隊のリーダー役の火野正平が戦乱の中ではぐれた白虎隊を呆けたように探し回るシーンだ。

もっと印象深いシーンが数多くあるのになぜこの2つのシーンが約40年間も記憶が残っていたかはわからない。

人間の記憶というのは不思議だ。

白虎隊の凄惨なエピソードは今でいうところのナレーション付き再現ドラマのような演出で俯瞰してその物語を観られるのがいい。

昔よかったと思った映画やドラマは記憶の中で熟成され美化していて観直すと期待ほど程でなかったことはよくあるがこのドラマは当時の印象と違わずいい作品だった。

デジタル化されずVODに登録されることもなくレンタルDVD上がりしてしまい名作といえど世の中から消えゆく作品は数多くある。

白虎隊′86はDVDを販売しているので金さえかければ観られるが廃盤になりレンタルからも消えてしまうと二度と観られなくなる。

みなさんも昔観た映画やドラマの中で心のどこかに残っていてもう一度観たいと思っている作品があれば早めに探してみるのもいいでしょう。

PS.存じ上げなかったがこの中川さんて中川翔子さんの実父なのか。しょこたんもこの前入院されていたが検査をしっかりして長生きして欲しい。


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